西国巡礼 ひとり旅   5日目(2013年4月11日)
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  ホテル➡立雲峡➡竹田城➡成相寺➡伊根➡神宮寺➡鵜ノ瀬➡朽木街道➡大原の里(泊)



竹田城

さて、今日の朝一は竹田城です。竹田城の東側にある立雲峡に上がってみると、駐車場にはすでに神戸ナンバーの車が駐まっています。  車を降り、少し登ると向かいの山の尾根には竹田城が見えました。 二人連れがカメラを構えていたので話してみると、どうやら先ほどの神戸ナンバーの人のようです。朝5時から粘っているとのこと。ずっと雲に隠れて何も見えなかったけど、今になってようやく見えてきたようです。雲海に浮かぶ竹田城とはいきませんでしたが、撮れただけで良しとしましょう。
城跡の中に行ってみようと、山を下り、竹田城の駐車場から歩いて城址に登ってみました。まだ人は自分も含め数人しか居ません。この城跡がこの後超人気になり、人でごった返すようになるなんて想像も出来ない静けさです。実際、この半年後の秋に再度来てみたところ、朝6:00の時点で数百人もの人が登っていて、まぁ、賑やかなこと。 ビックリでした。
今までにも時代劇のロケに使われる事が多く、最近ではNHK大河ドラマの「軍師勘兵衛」の初回で出てきていたように記憶しています。それに高倉健主演の「あなたへ」でも竹田城址での場面がありました。 この竹田城は山名宗全により築城されたと云われていますが、どうも正確なところはよく分かっていないようです。 念願であった竹田城を満喫し、山を下りて日本海へ向かいます。


成相寺  (28番札所)

朝来から天橋立に抜けるには東に向かい、福知山から北に向かうのが一番の近道のようです。暫くは山陰本線と平行して東へ。福知山手前で山陰本線と別れて北に向かいます。途中、東側にある山は酒呑童子伝説でもしられる大江山のようです。山の中でも道幅は広いので運転に苦労しないのは有り難いです。そういえば朝からまだ何も食べていません。途中にあったとてつもなく駐車場の広いコンビニでサンドイッチの朝食。
朝来から2時間半ほどで天橋立の北側の山上にある28番札所の成相寺に到着。実はこの1ヶ月前、小浜で行われる「お水送り」の神事を見に来た時、ついでにと、この成相寺には来ていました。1ヶ月前は雪で真っ白だった境内も今は桜が満開です。でも、まさか1ヶ月ほどの間に二度も天橋立に来る事になるとは。
このまま上に上がれば成相山パノラマ展望台があるようなので山頂まで行ってみました。眼下に天橋立を見下ろし、景色は良いのですが、春霞の中でイマイチでした。
ここまで来たのだから、やはり一度見たいと思っていた船屋で知られる伊根にまで足を伸ばしてみました。伊根まで行くと、どうやら船で海から船屋を見ることが出来るようで、それも格安。早速乗船しました。 しかし、どうも思っていたほどのものでも無く、何となくガッカリ。確かに伊豆あたりには無い光景なのですが、テレビで見過ぎたせいなのか、こんなものか、で終わってしまいました。途中のドライブインでこの旅初めての豪華昼食。海鮮丼を頼んだら、何とも豪華な昼飯になりました。
ここから29番の松尾寺までをどうやって行こうか?。一般道を東に行くか、綾部宮津道路・舞鶴若狭自動車道をいくか。少し距離は伸びるけど高速を行くことにしました。


松尾寺  (29番札所)

舞鶴若狭自動車道の舞鶴東ICで降り、松尾寺へ。松尾寺は舞鶴から高浜の間にある大浦半島の付け根にある29番札所。ここは雰囲気のあるお寺でした。桜とお寺の屋根のマッチングが絶妙でした。松尾寺の住職は西国巡礼の古道地図なども作られたようで、今の時代の西国巡礼普及に力を入れておられるようです。過去何回も歩いての西国巡礼をされており、その世界では名を知られた方とのことでした。住職の高齢と云うこともあり、残念な事に、徒巡礼の会「アリの会」は2015年に解散してしまったようでした。
松尾寺には国宝指定されている普賢延命菩薩像(十二世紀)をはじめ多くの貴重な文化財を所蔵しており、これは春秋の2回宝物館で展示公開されていて見ることが出来るようです。
西国観音霊場はその名の通り、観音様を祀っている寺となりますが、ここ松尾寺の観音様は33カ所の中でも唯一の馬頭観音菩薩を祀ってある寺となっています。


神宮寺 と 鵜ノ瀬

再び舞鶴東ICから高速に乗り、小浜まで。1ヶ月ほど前の3月2日にお水送りを見に来たばかりの神宮寺に寄ってみました。あの時は境内を埋め尽くしていた参拝者が今は嘘のように誰も居ない神宮寺です。神宮寺は未だに神仏習合となっている寺で内陣の中には仏像もあり、注連縄もありといつも見慣れたお寺の様子とはだいぶ違います。2015年秋、再再度この寺を訪れましたが、住職が本堂に入る時にはふたつ柏手を打っていました。明治以前、神仏習合は珍しいことでは無かったのでしょうが、それから百数十年も経つと、それらの歴史は消えてしまい、神宮寺のような寺は珍しい存在となってしまっています。
境内の端にはお水送りに使う「お香水」を汲む閼伽井があり、ここで汲み取られた神水が奈良の二月堂で行われるお水取りの為に送られます。近くを流れる遠敷川の上流にある「鵜ノ瀬」に注がれた神水は地下水となり10日掛けて奈良の二月堂の前にある「若狭井」に届くと伝えられています。鵜ノ瀬には東大寺の初代別当となった良弁の生誕の地碑があります。良弁はこの地で鷲にさらわれて、奈良の二月堂の前に生えていた杉の木に引っかかったと伝えられていて、その為に二月堂の前の杉の木は「良弁杉」といわれています。 この良弁が大仏も出来て東大寺が生まれた時の初代別当となりますが、この大仏開眼の752年から一度も欠かさずに行われてきているのがお水取りの儀式です。このお水取りを始めたのは良弁が若狭から呼んだ実忠というインド人僧。 実忠はかなりイケメン僧だったと伝えられています。このお水取りと「丹」「空海」「大仏」「水銀汚染」「丹生都比売神社」などが複雑に絡む話は今までにも書いているので今回はパス。これらはそれぞれが何かしらの関連をもっていると考えられ、その中心となっているのはやはり「丹」なのでしょう。
今日は朝からよく動きました。さて、今夜はどうしようか。明日はかなり冷え込むのだそうで、そうなると車中泊は気が重いです。こうした時に役に立つのがiPhone。さっそく「じゃらん」で調べてみたら京都大原の寂光院前に素泊まり出来る宿が一部屋だけ空いていました。さっそくここに予約を入れてこれで一安心。まだ時間は4時前なので何とか明るいうちに宿に入れるかも。若狭街道を琵琶湖に向かって進み、高島に出る手前を右折し朽木街道に入ります。この朽木街道は昔若狭の鯖を京都に運んだ鯖街道と呼ばれる道でもあります。歴史的にもいろいろな話が埋もれている場所で、ゆっくり廻ってみれば面白そうです。
所々に鯖街道らしく、鯖寿司の店が有り、夕食に買おうと思ったら、これが結構高い。せっかく素泊まりで安く上げようと思っているのにこれは少し勿体ないです。宿に着いて、どこか食事の出来る所がないかと聞いた所、大原は意外にそうした店が無いとのこと。車で南に行けば何処かにあるだろうと高をくくっていたら、走れど走れど無い。仕方なしに諦めてコンビニの寿司弁当で済ませました。なんと、寂光院の前に泊まりながらコンビニの寿司かよ。宿の風呂に入り、明日は早く出たいので夜のうちに勘定を済ませ、早寝、と思ったら寒ーーーいのです。車中泊にしなくて正解でした。

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