信濃大町駅

池田町

蓮華岳

仁科神明宮

街道をゆく

盛蓮寺 観音堂

青面金剛

木崎湖にて

神城

古民家

観音堂

白馬

栂池高原

沓掛

千国

千国

千国

南小谷駅

塩の道 第8回目(2015.4.22〜24)

穂高〜南小谷 61Km


地図をクリックで詳細地図

1日目(穂高〜大町)

昨年中のゴールを目指したが、結局昨年は一回だけで終わってしまった。去年4月から参加している「100寺を歩こう会」が月一回のペースであり、その為になかなか時間をとる事が出来なかった。
塩の道ウォークも松本以北となると少なくても一泊、出来る事なら2泊3日くらいで出かけないと無駄な時間と出費ばかりがが多くなってしまう。そんなわけで、今回は大町へ連泊しながら2泊3日で小谷まで進む予定だ。距離にして約60キロほどだからさほど大変な計画では無いはずだ。
朝4時半に出発し、大町の宿に到着したのは7:00。静岡から2時間半ほどで到着してしまった。宿の方に事前に車は駐めさせて貰うように了解は得てあるので、駐車場に入れ、身支度して大町の駅に向かう。宿からは5分も掛からずにJR大糸線の大町駅に到着。まだ少し時間があるので、スタンドのソバを朝食代わりにして腹ごしらえしてから、大勢の学生さんに混じり車中の人となり、30分程で1年ぶりの穂高駅に着く。
天気は良いし、暑くもなく寒くもなく、北アルプスの山は残雪で綺麗だし、言う事無しのウォーキング日和だ。
穂高駅を出てすぐの所に昨年寄った、親子でやっている古民家の喫茶店がある。随分元気なおねーちゃんだったが、まだ元気でやっているようだ。開いていれば寄ってみたかったがまだ時間も早く閉まっていた。
穂高川を越え、北アルプスの山を眺めながら歩けば知らないうちに結構前に進んでいる。安曇追分の駅まで行った所で国道を突っ切り、高瀬川を渡り池田町に入る。この道をそのまま真っ直ぐに進めば昨年寄っていった蕎麦の翁だが、今回は途中を左に曲がり北へ進む。今回のコースはほぼ一直線に北に進むルートになっている。景色は良いがやたらと広いたんぼ道を北へ北へ。
2時間ほど歩き続けて池田町の繁華街まで来た。時間も11時になろうとしているし、そろそろ昼飯時だがiPhoneで見つけた店はやっていなかった。旨いタイミングで観光案内所があり、そこで「何処か食事出来るところは?」と聞いたところ、近くの店に問い合わせてくれて、まだオープン前だけど、すぐに開けてくれる事になった。このおねーちゃんが途中まで案内までしてくれた。
ああー、池田町っていい町だなぁーーー! 感謝!

特徴のある有明山
ところがこの店、入ってみると焼き肉屋さん。おいおい、昼から焼き肉かよ!と、メニューを見ると1000円もしない焼き肉ランチがある。それも、肉は焼いて食べるようだ。全員がそれで即決。例によってまたまたビールだ。焼き肉屋で呑まないで済むはずがない。焼き肉もなかなか旨かったし、これは観光案内所のおねーさんにもう一度感謝!
腹はビールと焼き肉で膨れていい気持ちなのだが、歩くのはシンドイ。
重たくなった体に鞭打って歩く事1時間。寄って見てみたいと思っていた「仁科神明宮」にやっと到着。酔った体にここまでの登りは堪えた!
ここの本殿は国宝指定されている。この神明宮も伊勢と同じように本来は20年ごとの式年造替がかつて(江戸初期まで)は行

仁科神明宮
われていたが、ここを鎮護していた松本藩の財政悪化とともに完全な式年造替は1636年が最後となっている。結果だけを見れば財政的に作り替えが出来なかった為に古くなり、その結果価値が上がり国宝になってしまったという事になるようだ。実際には20年毎の作り替えは途絶えていたが、20年毎の修理は行われてきたという。
ここまで来れば今日の行程の3分の2は進んだ事になる。まだ時間は1時を過ぎたばかりなので今日は余裕でゴール出来そうだ。
そう思った途端に疲れが一気に出てきて足がガタガタ。でもこのまま大町まで行ってもつまらないので途中にあった盛蓮寺の観音堂に寄ってみた。
この観音堂は1470年に建てられた古いもので、国の重要文化財に指定されている。残念なのは最近の事なのだろうが、茅葺き屋根が銅葺きになってしまった事。これは今の時代仕方のない事なのだろう。丁度この日は寺のお祭りがあるらしく、地元の人がお堂を開けて祭りの準備を始めるところだった。見ていったら?と言われて、おお、ラッキー!  
中に祀られている観音さんは何観音?と聞いた所、よく分からないとの事。ただ、普通とは手が逆だと言われているという。何の事かと思い、暗いお堂の中に上がり見てみると、真っ黒くなってかなり古い仏像が鎮座している。どうやら姿は如意輪観音のようだ。
それで分かった。
一般的な如意輪観音は右手で頰杖しているが、ここの如意輪観音は

盛蓮寺 観音堂
左手で頬杖ついている。そういう事か。でも、檀家さん?が祀られている観音さんを知らないのも不思議。しかし、何観音であれ、そんな事関係なく毎年地元の人に大事にされてお祭りもやってくれているのだから観音さんも幸せだろう。
ここから1時間ほどで大町の街の中に入った。時間があるので「塩の道博物館」まで進んでみたが、あいにくの休館日。帰る時による事にして、早々と宿にチェックイン。この夜もよく食べ、よく呑んだ! 呑み過ぎだ!


2日目(大町〜白馬)

2日目の朝、宿の屋上に上がってみると西に爺が岳から鹿島槍ヶ岳に続く稜線が青空に浮かんでいた。あの山に登ったのはもう10年近くも昔の事になる。
今日も天気は良さそうだ。今日は白馬まで歩く予定で、出来る事ならその先まで進めるのなら進んでおきたい。しかし、大糸線の駅の事を考えると信濃森上駅が限度のようだ。そこを過ぎてしまうと大糸線からは離れていってしまう。

若一王子神社

鹿島槍ヶ岳

大町の市街を通勤通学の人達と北に進む。宿を出てから30分も歩くと桜の花が満開の若一王子神社の前に到着。今桜が満開なのだからやはり寒い所なのだろう。この辺りからまだ上の方は雪を被って真っ白な鹿島槍を正面に見ながら進む。 スタートしてから1時間半、木崎湖のキャンプ場に着いた。ここにある桟橋の上で撮る写真は今流行なのだそうだが、そんな事は何も知らないおじさん達は桟橋など目もくれずに通過し、木崎湖の西岸を北に進む。静かでノンビリ歩けるのがいい。
途中の旧街道は通れないようで、そこから中綱湖までは一旦国道148号線に出て車の往来の激しい道を行く。今までが静かだっただけに国道歩きにはウンザリしてしまう。
中綱湖では一部雪の上も歩き、そこには水芭蕉やザゼンソウも咲いていた。
気分は最高!

                     右の最上段へ ▲

青木湖
中綱湖を過ぎればじきに青木三湖の一番北にある青木湖のほとりに出る。ここは青木湖西岸を進む。
時計を見ると時間もそろそろ11時半になろうとしている。腹も減ってきたが開いている店がない。このあたりはスキー客相手のホテル

佐野坂峠
やペンション、レストランで、どうやらスキーシーズン中だけの営業のようだ。ここでの昼食は諦めて佐野坂峠を越えてからに期待することにした。佐野坂峠に掛かると林の中にはまだ1m程の雪が残っていてビックリ。さっきの集落でおばちゃんが言っていた、今年は雪が多い、という言葉が実感出来る。雪は残っていても道路部分にあるわけではないので歩くには支障ない。峠を越えて下ると、佐野坂スキー場に出た。ゲレンデの一部ではまだ春スキーが出来そうだったが、誰も居ないようだ。リフトが動いていないのだから、板を担いで登るのも簡単ではないだろう。近くにソバ屋があるようなので行ってみたら、営業してはいるが何とも陰気くさい親父さんが一人。出来る物も限られていて、ビールを頼んでもこれが余り冷えていない。それでも、何とか腹に溜まれば先に進む事も出来る。酔って店を出て元の街道に復帰するには最初に坂を登らなければならない。フーフーいいながら正規の塩の道に復帰。

カタクリの花
佐野坂峠を越えたので、まだ真っ白な白馬三山も見えてきた。この辺りには蕗の薹が沢山出ているのだが、この土地の人は蕗の薹を食べると言う事は無いのだろうか?ほんとうに食べ頃になった沢山の蕗の薹が生えていた。
数年ぶりの白馬だ。二十代、スキーをやっていた頃は毎年来ていたが、その後は何年かに一度くらいのもの。白馬はスキーが終わった今はオフシーズンなのだろう。もう少し経てばまた夏のシーズンに入り賑やかになるのかもしれない。

日本海まで46Km
ここまで来れば白馬駅はすぐそこなのだが、まだ時間もあるのでこの先の信濃森上の駅まで進むことにしてもう少し歩く。
松川橋の袂の標識には日本海まで46Kmとなっていた。この日本海は糸魚川のことなのだろうが、この距離は国道を行っての距離だろうから、自分たちの歩く山道はそれよりは長い。おおよその計算でも松川橋からはまだ60Km位はありそうだ。松川を渡れば信濃森上の駅はすぐそこだ。ここまで7時間掛けて歩いて来て、帰りは電車に乗り、大町に戻ってくるのは僅か30分ほどだった。流石に文明の利器は凄い!
2日目の夜も派手な宴会になってしまい、これでは安上がりな宿に泊まった意味が無くなってしまう。最近話題のノドグロという魚を食べてみたが確かに美味かったけど、値段の方も北陸新幹線開通の御祝儀相場並だった。
今日はよく歩いた。28キロくらいか?


岩岳スキー場

岩岳で泊まっていた民宿

3日目(白馬〜南小谷)

さて、最終日だ。
このペースで今日歩けば、次回でゴール出来そうだ。
朝食の時、宿の女将さんと話していたら、ナント、出身は清水という。住所を聞いたら本当にすぐ近くだった。何とも奇遇だ。これで宿はチェックアウトし、邪魔な荷物は車に置き、車も帰ってくるまで置かせて貰える事になった。感謝! 感謝!
昨日のゴール地点の信濃森上駅まで今日もまた大糸線のお世話になる。信濃森上駅から岩岳スキー場の方へ少し上がる。切久保という地名が出てきて40年程前にスキーに来ていた時、泊まっていた宿が確か切久保にある民宿だった。
歩いていると何か見覚えのある建物が!!「よこや」と看板が出ていて、ここから見えるゲレンデの感じも当時のままだ。あの当時の記憶も頭の片隅にはまだまだ残っているようだ。懐かしい!


栂池高原

牛方宿
白馬を過ぎれば栂池の広々とした高原風景が目の前に広がる。この先の林の中で残雪が多いために道が分からなくなって抜けるのに一苦労。足が時々雪を踏み抜くから、まさかその下に穴など無いだろうなぁ、などと考えると結構怖い。 栂池高原から千国までの間は見るべきものも多い。千国街道沿いには百体観音群と呼ばれる西国三十三カ所、坂東三十三カ所、秩父三十四カ所の観音を一カ所に集め、そこで三つの観音巡礼が出来るようにした所がこれまでにも何カ所か合った。ここ栂池高原にも前山百体観音群と呼ばれる観音像群がある。百体観音を過ぎ暫く行くと道は一旦舗装路に出るが、そこが沓掛の宿。牛方と寝起きを共にした牛小屋は現在県指定の文化財となっており、またその横に移築された塩倉は村の文化財となっている。牛方宿の横から街道は親坂と呼ばれる急坂の山道に入り、千国に向けて一気に下る。山道の横には沢が流れていて、この時期は雪解け水で水量が凄い。下る途中に「弘法の清水」「錦岩」などあり、沢の周りの景色を楽しみながら一気に下る。

弘法の清水

千国番所

あずさ
下りきった所が千国の宿だ。一旦国道に出るが再び道路左手の山中腹に登る。そろそろ昼飯時でもあるので、景色のいい場所でノンビリと宿で作って貰ったむすびの弁当でランチ。大町に戻る電車の時間まではまだ3時間近くもあるので本当にノンビリ出来た。三日間必死に歩き尽くめだったからこんな時間があるとほっとする。
十分な休憩をとり、ラストスパート。ここからゴールの南小谷駅まではもうさほど遠くもない。と、思ったのだけど、やはりそんなに近くもなかったようで、それからも暫く山道をアップ、ダウン、アップ、ダウンの繰り返し。ようやく降りた所にある郷土館のようなところで再びソバとビール。
いい気持ちになった所で南小谷駅まで行き、そこからは豪華に「特急あずさ」で大町まで戻ってきた。というか、これしかいい時間帯の列車は無かっただけ。大町から二日間で歩いた距離も電車ならあっという間だ。
次はいよいよ6年越しのラストランだ。
残す距離は約50Km。
      3日間の歩行距離  61Km

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